人生大学メールマガジン 第1号

オープンキャンパス(第3回)プレゼン参考資料

人生100年時代の人生戦略・行動戦略

人生100年時代の人生戦略,行動戦略という言葉はリンダグラットン氏の著書「ライフシフト」によって非常に有名になりました。平均寿命が延び高齢化の進む日本において、近い将来大半の人が平均寿命が 100歳近くになると予測されています。これまでは平均寿命は75歳と考えられ、60歳定年後の15年はのんびり暮らす余生と考えら
れていました。

しかし平均寿命が100 歳近くになると考えられる余生は85歳からであり、60歳から85歳まで働く期間が増えることになります。

人生を日本の四季春・夏・秋・冬に例えると、人によって多少の違いはあるものの、秋の期間は50歳から85歳ぐらいまでが考えられ、人生で最も充実した収穫期、自分が思うように過ごすことのできるゴールデンエイジとして捉えることができます。

しかし多くの日本人が過去の60歳定年の考え方にとらわれ、定年後はのんびりと余生を過ごすという考え方になっていて人生の収穫期であるこのゴールデンエイジを充実して過ごすということに問題意識を持っていないように感じます。秋の期間は 自分のこれまでの経験を活かし、志を実現し社会に貢献することのできるとても貴重な時
間です。

人生大学では人生のゴールデンエイジである収穫期の秋に焦点を当て、人生をどのように再設計し、どのような活動をすべきかについて色々な指針を提供し、人生シナリオの作成を通して自分を見つめなおし豊かな人生を過ごしていただきたいと考えています。

また秋から冬に向かう自分自身のいのちについて、 真のいのちの活かし方、いのちの全うのあり方を仏教を通して学んでいただきます。

世の中、世界の真の姿は諸行無常であるということの把握

人生大学で私の提案するプログラムに仏教の教えがあります。仏教は釈尊が開かれた教えですが、2600年の歴史の風雪に耐え今日でも色あせることなく燦然と光り輝いています。

釈尊の教えに四法印の教えがあります。諸行無常、諸法無我、一切皆苦、涅槃寂静の四つです。この中で現代社会の実相を把握するのに諸行無常という捉え方がとても重要だと思います。

今問題になっている地球温暖化、激しい気候変動、政治・経済・社会の変化、昨年から続くコロナパンデミック、そして何よりも自分自身。この地球上に存在するものはすべて無常である、常でない。変化し続けているということです。

コロナによって引き起こされた社会の変化は産業革命に匹敵するという人がいます。

あらゆるものが変化するこの世の中で、人間に生まれた縁を大切にし主体性を発揮しながら生きていくということ、これを縁起的主体性と言いますが、この縁起的主体性を発揮してコロナ禍の中の変化を生き抜くということがとても大切だと思います。

真のウエルビーイング(本当の幸福)とは何か

予防医学研究者の石川善樹先生によれば、充実した人生(フルライフ)は Well Doing と Well Being の関数として捉えることができるといっています(「フルライフ」~ハードな仕事と長い人生の重心はどこにあるのか・石川善樹著)。

先生は著書の中でWell Being(ウェルビーイング)について、いい意味での自分らしさと訳されています。 自分らしいという感覚はどのようにして生まれるのでしょうか。

先生は道元禅師の言葉にそのヒントを見つけています。以下は石川先生の主張です。

道元禅師の言葉に「自己をならうというは自己を忘るるなり」という言葉があります。 つまり自分という感覚を忘れることで、結果として自分という感覚が得られるというのです。おそらく自分を忘れると一気に世界=自分という感覚になれるのだと思います。そのような感覚を得ることができれば狭い意味での自分にとらわれることな
く、大きな自分=世界として自由闊達に振る舞うことができるのではないか。

道元禅師はおそらくそのような意味のことをおっしゃっているのではないかと思います 。

結論として「ウエルビーイングとは自分を忘れること、自分から離れることである」 。

そのためには自分を手放す練習が必要です 。

自分が今大事にしているもの(仕事や家族など)を手放した時自分は人生に何を望むのだろうか。今大事にしているものを手放してそれでも人生は私に何を望むのか、そうした問いと向き合い続ける時間を持つことが結果として充実した人生(フルライフ)に向かうのではないかと石川先生は言います。

自分を忘れる方法 overview Effect (概観効果)overview Effectとは何か。オーバービューエフェクトとは地球を宇宙から眺めたことのある宇宙飛行士が共通して体験する心理効果のことを言います。人類史上560人余りしかいない宇宙から地球を眺める体験をした人だけが味わえるという不思議な感動と価値観がひっくり返るような意識の変化のことです。

宇宙ステーションにいる宇宙飛行士は暇さえあれば地球を眺めて過ごしています。最初は自分が生まれた場所を探すのですが、だんだん自分の国や大陸、さらには広大な宇宙にポツンと存在する地球そのものを眺めていると、自分という存在が消えて宇宙そのものと一体化していくようです。おそらく overview 効果とはそのような体験な
のでしょう。

最高のウエルビーイング体験=宇宙から地球を見ること結論としてフルライフ(充実した人生)とは自分を高める Well Doingと自分を忘れるWell Beingのバランスをとることである。

「定年後ヒーロー」(萩原孝一著 星雲社)から

3人に1人が65歳以上という老人大国日本。その数ざっと4000万人。実にケニアやアルゼンチンの総人口以上に指摘します。寝たきり老人の数300万人。 日本の還暦以上の5人強に1人という絶望的な数字です。老々介護が問題となっていますがもうすぐ認認介護の時代がやってきます。 認知症同士が介護をする現場を想像できますか。

世界と比較しても日本の老人達の元気の無さは際立っています。 そもそも老人という言葉が良くないです。

ここからは熟年者と言葉を改めます。

日本人の平均寿命が過去最高となりました。男性は81.25 歳、女性は87.32 歳。香港
に次いで世界第2位です。

経産省の報告によれば定年退職後に定職につくあるいはアルバイトをする割合はわずか30%、残りの70%は自宅でテレビを見て余生を過ごすということです。

寝たきり状態が世界一長い国であり、認知症予備軍も世界最大の比率を誇っています 。いろいろな局面において社会のお荷物化していることは明らかです。

日本の熟年者のみなさん出番です。

今後どう生きたところでせいぜい 10年~30年でお迎えは来ます。 それほど長くない余生を生きるのであればもう一度ワクワクドキドキの世界に浸ってみませんか。「 知恵のある人は知恵を出す」「技術のある人は技術を出す」「体力のある人は体力を出す」「金のある人は金を出す」「何も出すものがないと思ってる人は元気を出す。」

4000万人が同じ方向に向かって結束したら世界は必ず変わります。この世代の力は発揮する所さえ担保されれば想像以上の社会貢献につなげていくことは全く可能です。そもそも定年は卒業なんかではありません。単なる脱皮です。さなぎから成虫になるおめでたい儀式です。定年までどのような仕事をしていたかにかかわりなくすべて人生のリハーサルみたいなものです。本番前の少し長めのウォーミングアップと呼んでもいいでしょう。定年まで国家の大仕事を成し遂げたと思っている人も、ずっと会社のお荷物だった人も全く同じスタートラインに着きます。

令和という時代

私はこのコロナウイルスは人類にとって産業革命に指摘する変化をもたらすと考えています。

産業革命は競争社会を生み出しました。

コロナの意図することは競合社会の創出に違いないと希望的観測を込めて信じています。 日本と言う素晴らしい平和な国でそれぞれの場所と時間を最大限に発揮してこの国を本物の地上の楽園へと駆り立てましょう。

人生大学寄稿文から

「人生大学」アクティブ・シニアの社会への係わり 藤本賢司氏

コロナ禍が始まってそろそろ丸二年になります。ニューノーマル時代と総称されて、世界的に世の中の常識が大きく変化しました。こうした環境変化の中で囁かれるのが、Society5.0 社会の「2030年の崖」(DX時代の危機)や高齢化社会の「2025年問題」(団塊世代が全て七五歳超で肩車社会になる)が、大きな壁としてた
ちはだかっています。

「人生大学」では、100年人生の長寿社会が抱える課題を解決するため、様々なテーマを中高年齢者のみなさまと共に取り組んで参りたいと考えています。

偉大な先人の言葉に、人間は「独り生まれ独り死に独り来て独りゆく・・・全ては自分自身が責任を負わなければならない」と教えてくれました。現代は「個」の時代とも言われます。

私事ですが、内閣府から「令和3年度 エイジレス章」を頂きました。国が定める定義「自らの責任と能力で、元気で生き生きと楽しく社会生活を送る エイジレス・ライフ実践者」の一人として認めていただいたものと感謝しています。

私たち世代は、年齢にとらわれることなく可能な範囲で「社会参加」を心がける事が大切ではないでしょうか・・・。

現在 私共がブロンズ人財協会(周南)で取り組んでいる活動は、概ね50歳~80歳の中高年齢者(山口県では総人口134人の内51万人)の方々が、「社会貢献活動」・「就労支援」・「生涯学習」(リカレント教育、リスキング等)の三分野から自分に合った社会参加を応援しています。

これまでも、「NPO 山口県アクティブシニア協会」で、九部会・十三事業(「国際支援」「子供育成」「シニア劇場」「人材マッチング」など)の地域活性化活動を行い、中小企業白書で「CSRV の模範事例」として取り上げられました。地域が抱える課題を民間団体が解決するユニークな取り組みとして、定年後の方々の社会活動が評価
されたものと思われます。

私達、中高年齢者は「三持ち族」です。「時間」と「智慧・経験」と「人脈」を年齢相応にたっぷりと持っています。この個有の財産を、地域社会に提供する事が「アクティブ・シニア」として、自分を活かしながら「忘己利他」精神を発揮し、「プロボノ(公共善)・パラレルキャリア活動」を実践する事になります。

今日行くところがある(教育)、今日用がある(教養)の日々で・・・「終活」ならぬ人生の優秀の美を飾る「秀活」を行いながら、安穏な「うたしズム(嬉しい、楽しい、幸せ)人生」を完結する事になると思います。

人生大学設立記念事業

2022年はNPO法人設立10周年を迎えます。10周年を記念して人生大学を正式に設立するのですが、設立に関連し、記念事業をやりたいと考えています。

記念事業について細かな内容は決めていませんが、記念講演とシンポジウム、これに連動したコロナ支援事業として、コンサートと連動した飲食・物販等の支援活動をしたいと思っています。

※以下の文献を参考にしました。
参考:
「ライフシフト」~100 年時代の人生戦略 リンダグラットン・アンドリュースコット著 出版社 東洋経済
「ライフシフト 2」100 年時代の行動戦略 リンダグラットン・アンドリュースコット著 出版社 東洋経済
「フルライフ」ハードな仕事と長い人生の重心はどこにあるか 石川善樹著
NewsPicks
「定年後ヒーロー」危機の時代を救うのは定年後のあなただ 荻原耕一著 星雲社