【9月❷】学びは「インプット」より、アウトプット・仕事や暮らしに生かすこと  ~熟年期の学びを無理なく続ける「4つのコツ」

前回の記事では、熟年期の学びは、若い頃の試験のための勉強とは違い、これからの人生を豊かにし、自分の可能性をもう一度拓くためのものだとお伝えしました。

けれども、いざ始めようとすると、「何を学べばよいのか分からない」「覚えてもすぐ忘れる」「三日坊主になりそう」と感じる方もいるでしょう。

そこで今回は、学びを難しく考えず、毎日の暮らしの中で無理なく続ける方法をご紹介します。大切なのは、たくさんインプットすることではありません。学んだことを、自分の経験と結びつけ、誰かと分かち合い、小さく使ってアウトプットしてみることです。

まず知っておきたいこと――「忘れる=学べない」ではありません

本を読んだのに内容を思い出せない。講座で聞いた話を翌日には忘れてしまった。よくあることです。そんなとき、「やはり年齢のせいだ」と落ち込んでいませんか。       しかし、学びは一度ですべてを覚える必要はありません。忘れたことをもう一度思い出そうとしたり、確かめ直したりする過程そのものが、理解を深める機会になります。

学びの目標は「忘れないこと」ではなく、「思い出し、結びつけ、使うこと」。

熟年期には、仕事、家庭、人間関係、病気や困難を乗り越えた経験など、長年蓄えてきた豊かな土台があります。新しい知識をその土台につなげれば、知識は自分なりの知恵へと変わっていきます。アウトプット学習を心掛けましょう。

コツ1 「学びたいこと」ではなく、「気になること」から始める

必ずしも立派な目標を決める必要はありません。まずは、日ごろの生活の中で心が少し動いたこと、身近なことを一つ選んでみましょう。

  • スマートフォンでもっと写真を楽しみたい
  • 足腰を元気に保つ方法を知りたい
  • 地域の歴史を調べてみたい
  • 昔の仕事の経験を若い人に伝えたい
  • AIとはどのようなものか触れてみたい

「役に立ちそうだから」だけでなく、「少し面白そう」「もう少し知りたい」という気持ちを入口にすると、学びは義務ではなく楽しみに変わります。楽しいと思うことが学びの継続に繋がります。

コツ2 1日15分、「小さく・短く」続ける

最初から毎日1時間と決めると、できなかった日に気持ちが折れやすくなります。おすすめは、1日15分から始めることです。

たとえば、朝食後に本を2ページ読む。午後にスマートフォンの機能を一つ試す。夜に今日の気づきを一行だけ書く。これなら、忙しい日や体調がすぐれない日にも取り組みやすくなります。

「たくさんやる」より、「明日もできる量」にしてこつこつ続ける。これが継続の秘訣です。

コツ3 学んだ直後に、本を閉じて「一つ思い出す」

読み終えた直後、すぐ次へ進まず、本や資料をいったん閉じてみましょう。そして、自分にこう問いかけます。

「今日、心に残ったことは何だろう?」

答えは一つで十分です。正確な言葉でなくてもかまいません。自分の言葉で思い出すことで、ただ読んだだけの情報が、自分にとって意味のある学びになります。思い出せなければ、もう一度見直せばよいのです。最近の学習科学では学んだことを想起することの重要性を強調しています。想起することが脳の筋トレになるのです。

コツ4 「話す・書く・試す」で、学びを自分のものにする

学んだことは、頭の中だけに置いておくより、外に出すと理解が深まります。次の三つから、できそうなものを一つ選んでください。

  • 話す:家族や仲間に「今日こんなことを知った」と伝える
  • 書く:手帳やノートに、気づきを一行で残す
  • 試す:健康法、スマートフォン操作、会話の工夫などを暮らしの中で一度やってみる

誰かに話してみると、新しい質問が生まれます。書いてみると、自分が何を感じたのかが見えてきます。実際に試すと、小さな成功や改善点が見つかります。学びは、ここで初めて仕事や暮らしを変える力になります。                              今日からできる「15分学び」の型                          時間     すること          ポイント                        5分     読む・見る・聞く       一つに絞る                    3分     資料を閉じて思い出す      一つで十分                      4分    自分の経験と結びつける      『私の場合は?』                    3分    一行書く、誰かに話す、試す  小さく外へ出す

一人で頑張りすぎない――仲間がいると学びは続きます

学びが続かないのは、意志が弱いからとは限りません。一人だけで完璧にやろうとすると、分からないことや失敗が負担になりやすいものです。

同じ関心をもつ人と話す。分からないことを専門家に尋ねる。自分の経験を伝える。誰かの挑戦を応援する。そんな関わりがあると、学びは「孤独な勉強」から「人とつながる楽しみ」へ変わります。私はわからないことがあるとAIに質問したり、PC操作ではNTTの相談窓口やメーカーの消費者窓口の担当者に聞くことが多いですが、丁寧に教えてくれます。

私たちが取り組んでいる「生きる喜び創造アクティブシニアプロジェクト」も、知識を一方的に教わる場ではなく、参加者が互いの経験と気づきを持ち寄り、積極的に発言して共有しこれからのお互いの人生創造に生かしていく学びの場を目指しています。

「生きる喜び創造アクティブシニアPJ「」講座のガイダンスセミナー風景

今週の小さな実践

今週、「少し気になること」を一つ選び、15分だけ学んでみませんか。終わったら、心に残ったことを一行書くか、誰か一人に話してみましょう。

学びは、大きな決意からではなく、小さな好奇心から始まります。その小さな一歩が、新しい出会いを生み、自信を育て、これからの人生の景色を少しずつ変えていきます。

人生、これからが本番です。この秋、あなたの暮らしに「15分の学び」を取り入れてみませんか。

次回予告

次回は、学びをきっかけに人とのつながりや毎日の充実を取り戻していく、熟年者の変化をイメージできるストーリーをお届けします。