3月も下旬となり桜の開花がニュースで話題となるようになりました。 毎年桜の開花の予想ニュースを聞く時期になるといよいよ春がやってくるんだとワクワクするのですが今年はそんな気分になれません。 コロナパンデミックの収束の目途がはっきりせず、小さな子供たちの感染流行が広まっており、まだまだ気を許すことができない状態が続いているからです。
それに加えてロシアのウクライナ侵攻のニュースが毎日テレビで放映され、ロシア軍のウクライナに対する無差別攻撃があまりに異常のため、テレビを見る人の心を締め付け胸が痛くなります。
350万人もの人々が祖国を脱出し海外に避難しました。 自分たちの人生や生活を奪われ、これからのあてもなく着の身着のままで見知らぬ外国の地で生活することを余儀なくされた人々の悲しみを思う時、桜が咲くと言って心の底から喜ぶことなどできないのです。
自国から避難したウクライナの人々を暖かく迎えるポーランドのボランティアの人々の活動がテレビで 放映されていました。朝早くから 夜遅くまで10時間以上ボランティアとしてウクライナの人々をお世話しているのです。 テレビの記者の10時間以上もボランティアで働いてきつくありませんか との取材に対し、 困難な状況に置かれているウクライナの人たちのことを考えるとこの程度のボランティア活動はなんでもありません。ウクライナの人たちの悲しみに寄り添いたいのですと答えていました。
プーチン大統領の非人道的残虐的侵略に対して強い憤りと人間としての悲しみを感じると同時に、ポーランドのボランティアの人々の人間味あふれる心の温かさに感動しました。
仏教では慚愧ということがいわれます。慚とは人に恥じる心、愧とは天、神仏に恥じる心を言います。 プーチン大統領には慚愧という言葉が全くあてはまりません。 慚愧なき人間を畜生となすという言葉が実感として納得されます 。
自分だけが、自国だけが幸せであればいい。自分だけが満足すればいいという自分中心の考えを改め、他人の喜びを自分の喜びとし他人の悲しみを自分の悲しみとして受け止めることのできるような人間になりたいものです。それがお互いのいのちの歓びを深めることになるのです。
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解説 2: コロナパンデミックが社会の慣習を変えつつあること
2020年に新型コロナウイルスの感染症が世界中に拡大しニューノーマルという言葉が流行しました。元々.元々ニューノーマルという言葉はネット社会の到来によってこれまでのビジネスモデルや経済論理が通用しなくなることを言った言葉でした。次にリーマンショックによって金融危機が世界的に訪れて人々の意識が変化したことが第二のニューノーマルと言われます。そして今回の2020年のコロナ感染の世界的流行が第三のニューノーマル時代を生み出しました。
ニューノーマルとはこれまでの常識が大きく変わることを意味します。それは社会全般に広がる規模のものもあり、社会の中で生きる私たち一人一人の身の回りの変化もあるわけであります。
社会全般で考えると、国や資本主義の考え方の変化です。国レベルで考えると各国の政府がロックダウン政策を取ったことにより人々の働き方が革命的に変化してデジタル化や DX(デジタルトランスフォーメーション)化が急速にすすむことになりました。
日本ではデジタル化 AI 化の遅れに対応してデジタル庁が創設されました。またコロナの原因が温暖化であるという説を背景に化石燃料から脱却し、脱炭素社会をめざすいわゆるグリーン化が進むという動きにつながっています。
またコロナの感染流行はロックダウンや外出規制によって雇用がなくなり、貧富の格差が拡大しました 。私たち個人のレベルでは働き方やワークスタイル、家庭環境、学習環境といったところまであらゆる面で変化が起きつつあると言っても過言ではありません。
生活様式の大きな変容や,消費行動の変化、また働き方では特にテレワークへの移行、オンライン会議、オンライン研修、オンライン商談などが注目されるようになりました。
ニューノーマル時代の働き方の課題としてコミュニケーションの改善では電話以外にメールやチャットがブームになり、リモートワークで生産性やチームワークが低下する中でオンラインミーティングのやり方と傾聴スキルが重視されるようになりました。また職場におけるモチベーション管理といった面では情報セキュリティ意識の向上ということが大きな課題になっています 。
これまで数十年かかかって起きていた変化がわずか3ヶ月から半年という短い期間にさまざまな取り組みや変化が起きていることも注目すべき事柄です 。
ニューノーマル時代の変化として特に個人に焦点を当てた場合、 これまでのように会社に依存する人生から、これからは自分で道を切り開く人生への覚悟が求められていると言えると思います 。
熟年者になっても社会との関わりを深めようとする場合、欠かすことのできない能力として論理的な思考能力、自分の未来をデザインする能力、問題解決能力、人をプロジェクトに巻き込み参画させる能力といった能力が不可欠です 。(岩崎博充論文 https://mba.globis.ac.jp/careernote/を参考にしました。)
仏教に学ぶ
3月21日は春分の日でした。日本では春分の日と秋分の日を中日として前後三日間、合わせて7日間の期間をお彼岸と言い、春の彼岸、秋の彼岸と毎年2回のお彼岸が営まれてきました。お彼岸は日本独自の習慣ですが.彼岸という言葉はインド語ではパーラミータといい、漢字に訳すと波羅蜜多と書き、波羅蜜多は到彼岸の意味です。
彼岸とはいのちのふるさと「浄土」を意味し 、本来彼岸の期間は煩悩に明け暮れする此岸からいのちのふるさと彼岸に至る仏道修行の期間でした。
最近はお彼岸と言うと先祖の墓参りが盛んですがお彼岸の本来の意味を知り、人間に生まれたかけがえのない命を全うする為にも改めて仏道修行の意味を考えてみる必要があります。仏道修行といえばお釈迦様が45年間をかけてインドを布教伝道し、たくさんの善を説かれたものを6つにまとめた六波羅蜜の教えが有名です。
六波羅蜜とは私たちがさとりや目覚めを求め仏道を修する教えですが大きく六つの項目があります。布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の6項目です。
布施という行為は誰でもできる六波羅蜜の実践であり 人生で目覚めを得る大切な行為です。私たちの行動は身で行い、口で喋り、心に思う身口意の三業 から成り立っています。この身口意の三業を整えていくことが、布施という行為を通して人生で目覚めを得る仏道実践の基本なのです。
布施という実践項目の中には 金銭、物、土地などを寄付する財施、仏法を伝える法施、 自分の行いで布施を行う無財の七施など色々な布施があります。
やさしいまなざしで接する眼施(げんせ)、人に柔和な笑顔で接する和顔施(わげんせ)、優しい言葉をかける言施(ごんせ)、 身体を使って重い荷物を持ってあげるなどの身施(しんせ)、思いやりの心を持つ心施(しんせ)、乗り物で席を譲る牀座施(しょうざせ)、一夜の宿を提供する房舎施(ぼうしゃせ)など私たちが心がけ次第でできる布施がたくさんあります。 お互いに周囲の人に対して自分で実践できることに取り組み、明るい社会づくりを心がけましょう。それが自分の精神を高めていくことにもなります。
持戒とは戒律をまもることです。戒律も身口意の三業に整理できます。
- 身業 不殺生(ふせっしょう) 故意に生き物を殺さない。不偸盗(ふちゅうとう) 与えられていないものを自分のものとしない。不邪淫(ふじゃいん) 不倫など道徳に外れた関係を持たない。
- 口業 不妄語(ふもうご) 嘘をつかない。不綺語(ふきご) 中身の無い言葉を話さない。不悪口(ふあっく) 乱暴な言葉を使わない。不両舌(ふりょうぜつ)他人を仲違いさせるようなことを言わない。
- 意業 不慳貪(ふけんどん) 激しい欲をいだかない。不瞋恚(ふしんに) 激しい怒りをいだかない。不邪見(ふじゃけん) (因果の道理を無視した)誤った見解を持たない。
忍辱とは困難や迫害に対して耐え忍んでいくということです。道を求め歩もうとする人は一般の人より理想が高いので、期待も責任も大きいのです。人生には様々な困難が起きてきますが、これらの困難は自分を鍛える良い試練と考え前向きに受け止めることが必要です。私たちがコロナに臨む姿勢としてもとても大切だと思います。
精進とは他の五つを修めるために真摯に努力することです。
禅定には2つの面があります。
- 心を集中し、安定させる。念仏を唱える。坐禅を行う。坐禅・瞑想を行う。
- 自分の心の働きに目を向ける。(五蘊の枠を採用する)
五蘊とは色:身体と五感、受:感情(良い、悪い、中性)、想:思い、知覚、行:意志、識:意識する作用、判断、記憶のことです。自分の心の動きはどのように働いていくか,感情・思い・判断・行動(受・想・行・識)について観察してみると、生活に深みができてきます。最後に念仏をとなえます。
智慧とは 目覚め(さとり)へ導いてくれる正しい見方のことです。諸行無常. 諸法無我
彼岸(パーラミター)とは到彼岸のことであり、此岸から彼岸の真実の世界を目指して生きる人生、仏法による人間的成長や学びを促すために設けられた期間でありました。彼岸は日本独自の習慣として営まれてきたため、仏教宗派によって受け止め方が少し違っています。私たち浄土真宗では、自分が今あるのは先祖のおかげであり、すべての先祖、いのちの無限の象徴である阿弥陀仏を讃え感謝する行事として営まれてきました。私のありのままの姿を直視し、慚愧し、自分のいのちの有限性に目覚めるとき、そのような私たちを抱きとってくださる阿弥陀仏の大慈悲心に触れ、お念仏のいわれを知り、感謝の想いから念仏を申すという営みを大切にするのです。六波羅蜜の修業は仏法聴聞という聞法の営みに集約されているのです。
WellBeingについて
ウェルビーイングという言葉は幸福を語るときに欠かすことができない言葉として近年クローズアップされてきました。今までは幸福という言葉はハッピネスとかグッドライフという言葉が一般的であり、特に個人の幸福を対象としていました。しかしコロナパンデミック以降、幸福を語る場合単に個人の幸福を問題にするのでは不十分であることがわかり 、社会の望ましい在り方も含めてウェルビーイングという言葉が用いられるようになりました。
一般的にウエルビーイングとは肉体的精神的かつ社会的にすべてが満たされた状態にあることを意味し、日本語では幸福や幸せと訳されていますが、 ウェルビーイングという言葉には個人の幸福以外に地域や社会全体としての幸福、社会全体のウエルビーイングという考え方もあります。
コロナパンデミック以後世界の経済社会システムのあるべき姿を模索し、議論する中で最終的にたどり着いたキーワードがウェルヴィーングという言葉です。
これまで経済社会は色々な形で進化してきましたが、一方では分断や格差、様々な環境問題を生み出してきました。人類が目指すべき共通の目的がはっきりせず、手段が目的化したことにより 今日の混沌とした世の中を生み出しました。
ウェルビーイングを目指すことは同時に 環境問題や社会の様々な問題、経済問題を深く考えることになります。個人、地域社会、国家レベルいずれにおいても 共通の目的として 環境、社会、経済とのバランスをいかに取るかということが考えられねばなりません 。
ウェルビーイングはこれからの時代の人類社会の共通目的として捉えられるべきものです。
世界幸福度ランキングにおける日本の順位
世界幸福度ランキングとは国連の持続可能な開発ソリューションネットワークが毎年3月20日の国際幸福デーにあわせて発表しているランキングデータです。調査は世界の150カ国以上を対象に行われ2012年から毎年実施されています。調査方法は主観的な幸福度を調べるための 11段階のはしご手法と次の6項目の内容が加わります
- 一人当たり国内総生産GDP
- 社会保障制度などの社会的支援
- 健康寿命
- 人生の自由度
- 他者への寛容さ
- 国への信頼度
です。2021年度の世界幸福度ランキングにおいて日本は56位でした。日本は物が豊かで情報に溢れ快適で便利な国ですが 、国民が感じる幸福感は必ずしも高くなく 、心の豊かさが十分ではありません。
世界に先駆けて長寿大国となった日本、これから人生100年時代を迎える私たちは、長い老後を生き抜くために、年をとっても健康的に長く働ける条件、肉体的にも精神的にも社会的にも良好な状態を保持できるよう心がけなければなりません。
人生大学関連ニュース
日本における人生大学設立の動き
最近インターネットで人生大学の取り組みについて調べてみました。東京には江戸川人生大学、大阪には人生大学in関西といった取り組みがあることがわかりました。その他の地域でも数件の取り組みが見つかりました。主宰する団体によってコンセプトや目指すものが少し違っていますが、いずれも人生100年時代を見据え、いかに充実した人生を全うするかについての新しい試みであることは間違いありません。こうした各地域の人生大学の活動が大きなうねりとなり、これからの日本を元気にする新しい動きとなるよう願っています。私たちの人生大学も新しい動きを形成できるよう努力しなければなりません。
2.人生大学下関の開校準備と課題
●カリキュラム:「ライフイノベーションカレッジ2022」のカリキュラムは人生大学のホームページをご覧ください。
HPの開設とブログの発信
この3月9日に人生大学の新しいホームページを開設し、中旬から検索エンジンに接続しました。
ホームページのアドレスは以下を参照ください。
参加者の募集ご案内
ホームペ-ジの開設やコロナ禍での営業活動の自粛等から人生大学への入学案内、募集が遅れています。
人生大学に参加してこれからの人生を再設計し、仲間と一緒に豊かな人生を築いていきたいと思っておられる方はぜひホームページから参加申し込みをお願いします。
人生大学の開校は4月29日の予定です。
「ライフイノベーションカレッジ2022」受講者には、最後にプロジェクトリーダー養成の講座がセットされており、現在プロジェクトリーダーとしての認定証を発行する準備をしております。ご期待ください。