11月❷人生を振り返る(第2回)

感謝と仲間から見えてくる、自分の本当の価値

前回は、これまでの人生の歩みを大づかみに振り返りました。今回はもう一歩踏み込んで、「お世話になった人たち」と「ともに歩んできた仲間」という視点から、自分の価値を考えてみたいと思います。

人生の節目にはいつも私を導いてくださった恩人がいました                            振り返ってみると、私の人生の節目には、必ず私を導いてくださる方が現れました。多くのお世話になった方々の中で4人の恩人を紹介します。

東京の電機メーカー時代の上司・O氏
大学卒業後、東京の電機メーカーで営業と人事を経験しました。営業企画を担当したときにお世話になったのがO氏です。おおらかで屈託がなく、部下の面倒見のよい方でした。仕事から私生活まで大変お世話になりました。O氏は私の在職中に退職して空調を中心に電気サービスの会社を興し、会社を短期間で軌道に乗せました。O氏の人を愛する人間性と人生のビジョンを実現する先見性,実行力は卓越しており、ただただ敬服するばかりです。

横浜時代の恩師・H先生
東京で勤務当時は横浜に住んでいました。横浜の自宅近くにH先生のお寺がありました。H先生は東京大学文学部の教授であり、浄土真宗の寺の住職でもありました。日本の仏教界を代表する学者でありながら、お酒好きで気さくな方で、人間の生き方と仏教の大切さを、ざっくばらんに教えてくださいました。本を書く執筆力が抜群で多くの図書や全集があります。

産業能率大学のO教授
その後、産業能率大学に転職し、O教授のご指導をいただきました。私が企業や各所で講師を務め、人前でインストラクションができるのは、O教授のおかげといっても過言ではありません。

市議会議員時代の先輩・O氏
郷里に戻って市議会議員を務めた時期には、高校の先輩でホテル経営者のO氏に大変お世話になりました。音楽、絵画、茶道、庭園づくりと、芸術文化への深い審美眼をお持ちで、そのセンスをホテル経営に生かし、魅力あふれるリゾートホテルを経営、地域の活力を引っ張っておられます。

お世話になった方々はいずれもそれぞれに人生の使命と役割を全うし、1人を除いて亡くなられました。しかしいまだにお世話になった人の私を呼ぶ声が聞こえるような気がします。                                                        

「ありがたい」で終わらせていないか

こうして振り返ってみると、自分の人生は良き人々に恵まれた人生だったと思います。感謝しても感謝しきれません。

ただ、正直に言うと、胸に引っかかることがあります。「お世話になった人から、私は何を学び、何を吸収し、人生と地域・社会のために生かせているだろうか」ということです。感謝は、気持ちを持つだけでは完結しません。いただいたものをどう受け継ぎ、誰かに手渡しているか。そこに、自分の価値が表れるのだと思います。

仲間とともに歩んだ40年

郷里に戻ってからは、寺の住職を務める傍ら市議会議員に挑戦し、まちづくりサークル「発揮会」を設立して、かれこれ40年近くになります。この間、いろいろなシンポジウムや講演会、コンサートの開催、NPOの立ち上げなどに取り組んできました。

気がつけば、ともに活動してきた仲間や同志も年を重ね、人生の収穫期を迎えています。仲間とは、肩書きや成果とは関係なく「あの時一緒にやったね」と言い合える存在であり、自分の価値を映してくれる鏡でもあります。

これから――人生の物語を紡ぐお手伝いを

時代も環境も大きく変わり、新しい取り組みが求められています。その一環として立ち上げたのが「生きる喜び創造アクティブシニアプロジェクト」です。

縁ある方々が、これまでの経験と持てる力を生かして、自分の人生の物語を紡いでいけるように、最大限の支援をすること。それが今の私の役割だと感じています。恩人たちから受け取ったものを、次の世代と仲間に手渡していくことが、ご恩返しになると信じています。

あなたも試してみませんか(自己評価ワーク)

自分の価値は、一人で考えるより、人との関係を手がかりにするとつかみやすくなります。10〜15分ほどでできる4ステップです。

  1. 恩人を3人書き出す:人生の節目で自分を助けてくれた人を思い出します。
  2. 学んだことを一言で書く:その人から受け取ったもの(姿勢、言葉、技術、考え方)を書きます。
  3. 今の自分に生きている場面を探す:それが仕事や地域活動、家庭のどこで役立っているかを書きます。
  4. 次に手渡す相手を決める:その学びを、誰に、どんな形で伝えられるか考えます。

書き終えたら、3の欄を見てみてください。そこに書けたことが、あなたが「受け取って、生かしている」価値です。書けなかった欄があれば、それはこれから育てられる部分です。

おわりに                                        感謝を重ねていくと、自分の価値は「何を持っているか」ではなく、「受け取ったものをどう誰かに手渡しているか」にあると気づきます。次回は、この振り返りを踏まえて、これからの人生の「物語」をどう紡いでいくかを考えます。